書評:「絶対にミスしない人の脳の習慣」を読んで

ビジネスマッチョへの憧れと現実とのギャップ

仕事でいろいろミスが続いていたこともあり、近くのブックオフで「絶対にミスしない人の脳の週間まとめ」というタイトルに惹かれ即購入。

この手の啓発本によくある誇張タイトルで煽っているなぁという印象だったけれど、著者が現役の精神科医ということと科学的な視点から解説を試みている様子が冒頭で見て取れたので、何か日常生活や仕事に取り入れられることが1つあればいいか、くらいの気持ちで読み進めてみることにした。

結論からいうと、いろいろな気付きがあり結構面白かった。

この本を読む前と後だと

【before】

  • とにかくハードワーク!疲れていても気合と根性で乗り切る
  • マルチタスクが苦手で、鍛える方法を模索していた
  • 人の話を耳で聞いて理解するのが苦手、メモは全て書き出す傾向がある
  • 生活リズム改善のため朝型へ変更したいと思っている

【after】

  • 人は病気になったら終わり!もう元には戻れない
  • ワーキングメモリーを鍛える
  • 人間の脳はマルチタスクできないようにできているらしい
  • メモを取る際はポイントに絞ることが大切
  • 起床後1〜2時間は一日のゴールデンタイム!うまく活用する
  • ルーティン思考-自分の状態を客観的に知れる状況を作る

といったように、いままでの過ごし方や考え方を変えるような内容だった。

人は病気になったら終わり!もう元には戻れない

本書によると身体の調子は四段階に分けられ、それらはそれぞれ

  • 絶好調
  • 健康
  • 未病
  • 病気

という状態で考える。

そうすると絶好調や健康なときは問題なし。未病の状況でも自分の状況を把握して体調を整えれば問題なし。問題なのは病気になってしまった状態ということになる。「「病気」になってもまた元に戻るのでは??」と思っていたけれども、どうやらそうではない様子。人は一度病気になったら元には戻らない。そのため、未病の状態で身体の状態を把握して、病気にならないように管理するのが重要とのこと。特に本文中でグサっと来たのがこの一文。

「大丈夫じゃない人ほど、自分はまだ大丈夫と答える」

どうやら、大丈夫と言っている状況は精神科医の目から見ると

「いやダメだろお前wwww」

という事。

危険信号で言うと「赤」の状態。これは、周りの人や自分で仕事をしていても心当たりがありすぎて、思わず苦笑いした。大丈夫な人、問題ない人ほど「もうやめる」とか「もうだめだ!」とか言うものも、なんやかんや続いていることが多い。これは一見やばそうに見えるけれども医療の現場ではまだ大丈夫な人たち。経験談としても、周りに助けを求められる状況はまだマシ。本当にヤバイときはそもそも助けを呼ぼうとも思えない。そして手遅れになってしまい「病気」の状態まで行ってしまうと元には戻らない。

不可逆な状態が「病気」

簡単に病気、病気と言うけれども、しっかり考えて管理しないといけないなぁと思った。重度のうつ病とか、アルコール中毒とかになってしまったら、簡単には回復しない。何ヶ月とか何年とかの治療を経て社会復帰できるかできないか。そのため、まだ後戻りのできる状態である「未病」の状態で身体を回復させることが大切になってくるのだけれども、一つ問題がでてくる。「未病」の状態をどうやって自覚するのか?本にはいくつか方法が記載されていたけれど、お手軽に出来そうなのが日記と自分のコンディションを点数化して毎日記録していくというもの。もともと日記はボケ防止にもなると聞いたことがあったので即実行することにした。自分のコンディションの点数化については、○月○日90点(100点満点)みたいな感じで記録する。その推移を記録することで、自分が今どんな状態で四段階中のどこに自分がいるのかを自覚するのが狙い。これは簡単にできるので即日実行してみることにした。

ワーキングメモリーを鍛えよう

パソコンのメモリーみたいに人間の頭にもワーキングメモリーに該当する物があるらしい。短期記憶とかそれに類するものらしいのだが、自覚するに自分はそれがかなり弱い。自慢ではないが、生来の鳥頭。三歩歩けば忘れるじゃないが、3分間あれば忘れる自信がある。(ムスカ大佐もびっくりだよ)人の話も全く頭に入ってこない。そういった背景からも、ひたすらメモをとる癖ができてしまったわけだが、本書によるとそれは良くないらしい。ワーキングメモリーの鍛え方として推奨されていたのは以下の9つ

  • 睡眠 7時間以上とるのが理想
  • 運動 筋トレではなく有酸素運動(ランニング、早足のウォーキング)
  • 自然に親しむ 危険を察知して判断、行動することで五感強化
  • 読書
  • 記憶力を使う 外国語の習得、資格試験、検定試験
  • 暗算する
  • ボードゲーム チェス、将棋、囲碁など
  • 料理 段取り強化に役立つ
  • マインドフルネス なんかシリコンバレーで流行ってる。オサレ

睡眠時間は確かに確保しないとダメだなぁーというのはわかる。運動もまあ、脳に良さそうだなという印象。ただ、自然に親しむというのは新しい発見だった。考えてみれば、大学進学に伴い東京にきてから20年近く、自然に触れる機会は減ったなぁと実感。小中学生の時は近所の田んぼにダイブしたり、川にダイブしたり、木によじ登ったり、遠くの山を眺めたり、家に生えてる果物むしったりと自然と触れ合う機会は多かったように思える。年齢のせいにしていたが、年々頭の感覚が鈍くなってきていたのも、そういった刺激が昔と比べて減ってきていたからなのかも。ということで、早起きして朝近所の自然公園あたりを散歩することにした。記憶力についても同じで、学生の時は試験勉強やらなんやらで半強制的に使うことになるが、最近は何か新しいことを覚えるというのは少なくなってきている。特に、外国語や資格試験は人生に幅が広がりそう。仕事のためというよりは、訓練の一環として考えてやってみようと思った。外資系の企業へ転職するのでもなければ、普段の仕事で使うとかはないし、まぁ趣味の範囲でやってみることに。暗算に関しては、本書を読む前に脳トレの一環としてやっていたので、実感値として納得感があった。事実、実感値として簡単な四則演算でも確実に衰えていた。ただ、面白いもので毎日続けていると確実に早くなっていくので、訓練で鍛えられる余地であるよなぁと。あと良さそうなのは、将棋とマインドフルネス。将棋とかはかなり奥深いゲームで、やり込むと一生物の趣味として続けられそう。マインドフルネスはシリコンバレーで流行っているみたいで、本書意外でも本屋さんで特集が組まれているのを見かける。年を重ねる度に、メンタルマネジメントの重要性を実感するのと、精神的な疲労は肉体的疲労に直結するので、なんとか解決できるならしてみたい。全てを一度に実行するのは時間的に難しいけれども、順番にやってみて自分に合ったものを進めていこうと思う。

人間の脳はマルチタスクできないようにできているらしい

たまーに、物事を同時に並行して進める人を見かける。

学生時代の友人にもそういった奴がいて、どんな頭の構造してんだ?と思ったものだが、それに触発されてなのかはわからないけれども、いわゆるマルチタスクに対する憧れがずっとあった。仕事をマルチタスクでできるとかなり効率的なように見えるし、マンパワーが足りない現場では、もしそれが実現できたならかなり有効に能力を活用できる!そう思っていた。だがどうやら、医学的には人の頭はマルチタスクはできない。マルチタスクをしているように見えるひとは、高速で物事のスイッチを切り替えているだけで、その効率は一つ一つを進めていくより悪いのだ。効率だけを考えるなら、やはり一つ一つの仕事を終わらせて行くのが一番効率てきということだ。長年抱いていた幻想を打ち砕いてくれた本書に感謝。

メモを取る際はポイントに絞ることが大切?

人の話が頭に入ってこない。指示内容が3つを超えるとわからなくなる。そんな自身の特性を理解していたので、ミーティングや対面での打ち合わせではひたすらメモを書きまくっていた。だが、それはよくないらしい。理由は単純明快。話の内容よりも、メモをとることに必死になって頭に何も残らないから。これは心当たりがありすぎて、苦笑。仕事の指示にせよ、ミーティングにせよポイントがあるから、それを意識してメモれ!というのが著者の主張だった。

確かになーと思う反面、全く訳がわからない分野の話になると、何がわからないのかがわからない状態になるので、消去法として全部メモれ!となってしまいそう。自身の悪い癖だと自覚はしているのだが、その時に質問できればいいのだが、これがなかなか難しい。。。

あとはメモをとる際には緩急をつけて聞くというのも重要とのこと。緩急?なんのこっちゃ??と思いつつも、考えて見るとミーティングで本当に重要なことを行っているのはほんの一瞬。

もしかしたらミーティング時間の2割くらいしかないかもしれない。そこを狙って集中しろということなのか?と解釈した。

著者によると、全てを覚えようとするとすぐに脳疲労が溜まってしまいミスが生じてしまう状況に陥ってしまうとのこと。そういう意味では、楽にまとめるというのを意識した方がいいのかもしれない。あとは、パソコンでのタイピングメモと手書きでのメモは頭が働いている箇所が違うので、状況に応じて使い分けた方が良さそう。ちなみに、手書きの方が記憶の定着は良い。そして、インプットは欲張らないで数を絞って聞くのがポイント。人間の頭は思ったよりすぐに脳疲労がたまり、その状態だとミスを誘発する状態になってしまう。

起床後1〜2時間は一日のゴールデンタイム

著者によると、起床後1〜2時間は一日の中で最も頭が働き、論理的なことや決断ができる時間帯で、具体的なアウトプットするならオススメらしい。個人的に起床後なんて眠すぎてまともに判断できない気もしているが、これは個人差があるのだろうか?実行してみないと効果検証できないのでこれは要検討。アウトプットに関しては、完璧を目指さないで30点くらいで一度全て作成してしまうのが良いそう。これは仕事でも同じことがいえるなぁと思ったが、30点の出来で報連相したら上司の性格によってはブチギレられるので要注意かなと。

ルーティン思考-自分の状態を客観的に知れる状況と作る

自分の状態を知る。年々これが簡単ではないということを実感していく。いかんせん、客観的に見るのが難しいのでうまく観測というか把握するしかないという印象。

本書では

  • 自己洞察
  • 原因究明
  • 対策

の手順で進めるのが重要と記載されていたが、そもそも自己洞察が難しい。日記を書くことはある意味、自己洞察の一種だと思うので、上手く把握するしかない。

本書にも日記の書き方は

  • 辛かったこと
  • 楽しかった

それぞれを一行程度で3つずつ、合計6行書き、慣れてきたらSNSなどで発信するすることを薦めていた。確かにTwitterとか文字数制限140文字程度なので、簡易な日記として使える。ただ、発言する情報を吟味しないといけないが。

そのほかにも、

  • ボーとするのは脳科学的にも正しい 脳が情報を整理している
  • 失敗の感情はマイナスなので忘れる 大切なのは対策と行動
  • 寝る前の2時間はストレス整理の時間 視覚は使わない、ストレッチなどの軽い運動を
  • 「ミスしたらどうしよう」ではなく「ミスしたらこうしよう」対策を立てる
  • スケジュールの記入には2〜3日早めを想定して設計 調整日を入れいると余裕が生まれる

などすぐに日常生活に取り入れられそうなトピックが盛り沢山。無理なくとりいれられそうなのを取り入れていこうと思う今日この頃。

アラフォー間近になって身体のことを考えて生活していこうと思った

気合と長時間労働でなんとかなる年齢ではないということを実感した。病気になったらもう身体は元には戻らない。これからは習慣が重要。自分の身体を長く正常に運用していくには毎日の習慣を作っていく必要がある。そのためにも、起床後のモーニングルーチンを作って行動することを目標に行こう。よくよく考えると、仕事が終わってから何かしようとすると頭が疲れていてまともに活動できないし、朝のうちにやること終わらせておけば、仕事終わりは自由時間。モーニングルーチンを作って行動するというのと一緒に、疲れを溜めない体づくりというのも、直近でチャレンジしてみよう。

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